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第ー回 文化と伝統の城端線
第ニ回 古代ロマンと海物語の氷見線
第三回 山間の情緒息づく高山線
第四回 地鉄と連携、大自然生かして(新黒部)
第五回 本物文化をつなぐ万葉線(高岡)
第六回 路面電車網で賑わい復活(富山)
第七回 並行在来線活性化へ(北陸線沿線自治体)

富山きたものがたり

鉄ちゃん王国



神通峡の鉄橋を渡る高山本線の列車

JR高山線は富山−岐阜間225.8キロ。城端線、氷見線の枝線とは違い、太平洋側と結ぶJRの本線である。とはいえ、2004年10月の水害で線路が流され、現在、富山県内の区間は富山−猪谷間(36.6キロ)で折り返し運転となっている。復旧の見通しは今秋の見込みという。

分断されたのが線路でなく道路であれば、とっくの昔に復旧しているはずである。ここが公共事業と公共交通の差であろう。道路は行政が建設するのに対し、公共交通は線路の敷設から維持、運行まで事業者任せである。

最近になって、ようやく線路の敷設などはインフラ整備として行政が行い、経営は事業者が行うという上下分離方式という形も認知されるようになった。考えて見れば、受益者負担が原則とは言うものの、道路にしても納税者に関係のないところの負担をしているのである。

さて、全線復旧とは別に、県内区間においては独自の展開を期待したい。北陸新幹線の開業に伴い、北陸本線が第三セクター化されるのは決まっているが、高山線は対象となっていない。現在、富山県内区間がJR西日本、その先の岐阜まではJR東海の経営となっている。

しかし、将来的には県内区間にLRV(ライトレールビークル)および、その発想で構成した列車を走らせたほうがいいのではないか。つまり、岐阜からの長距離JR列車と、県内区間だけ(もしくは飛騨まで)を走るLRTとの相互乗り入れである。特に県内区間は合併によって、すべて富山市内となった。各地の拠点を中心にコンパクトシティーを目指すのなら、LRT化はよい計画だろう。そこからフィーダーバスなどで各地を結ぶのである。

高山線の歴史を振り返ると、昭和2年(1927)に国鉄飛越線として、富山−越中八尾間が開通。全線開通して現在の名称になったのが昭和9年である。高速道路では東海北陸道の全線開通が待たれているが、高山線はまさに70年以上も前に、日本列島の最も幅のある地域の日本海側と太平洋側を結ぶ大動脈として建設されたのだ。

この路線は山岳地帯を走ることから速度が遅い。一時期、電化に向けて動き出し、カーブでもスピードを上げられる振り子電車の導入が計画されたが、結果的に断念、実現に至らなかった。だが、発想を変えれば日本のふるさととも言うべき原風景の中を行く列車には、スピードより風情のほうが大事だろう。

観光地として魅力大きい呉羽山の五百羅漢

富山駅を出ると、神通川を渡って呉羽山を迂回するように南下する。西富山まで駅はないが、仮にLRT化された場合、呉羽山のふもとに電停を設置するのもいい。富山市民俗民芸村や五百羅漢は貴重な観光資源である。特に五百羅漢は市民にとって珍しくもないだろうが、そのロケーションといい、素晴らしいものがある。県外の人を連れて行くと、たいてい驚きを持って受け止められるのである。

この呉羽山は標高77メートルしかない。ところが、関東文化圏の県東部と、関西文化圏の県西部に見事に分けている。正月の雑煮も、すまし汁仕立てで角餅を入れる関東ふうと、味噌仕立てで丸餅を入れる関西ふうに分かれている、と言った具合だ。こうした文化の分水嶺であることや、古墳群とともに売り出せば、市街地にある森として以上に魅力のあるところとなるだろう。

次に速星、千里駅。旧婦中町は富山市のベッドタウンとして人口の急増地域である。現在ライトレールが走っている岩瀬地区よりはるかに人口が多く、活用しだいで相当数の乗客が見込める。旧婦中町役場の駐車場では、活性化の社会実験としてパーク&ライドを実施していた。駅が近いので有利だろうが、空きスペースも多い。まだまだこれからだ。

全国から多くの観光客を集める
越中八尾の「おわら風の盆」

八尾駅は年に一度だけ、都会のラッシュ時を思わせるようなすさまじい込み具合を見せる。おわら風の盆を開催している9月の1−3日である。観光バスも多いが、町の中の交通規制が広範囲ということもあり、列車で八尾に来る人も多い。おわらの通年観光化がカギを握るが、これまた、いかに町に風情を出すか、季節を問わず訪れたい町にする知恵が必要だろう。

ポイントは、新しいものではなく古いものを復元することだ。観光客はどこの町にもあるものは求めてはいない。地域色豊かな歴史の重みに情緒を感じるのである。おわら踊りが主役なら、町は大道具だ。それが本物だと、人は集まる。年中、観光客が集まれば公共交通機関も便利になり、住民にとっても住みやすい利便性のある町となる。

風の盆の最中、越中八尾駅は
都会のラッシュ並みとなる

八尾の中心になるのが聞名寺だろう。浄土真宗本願寺派の古刹である。風の盆では踊りの会場としてひときわ混雑する。ほかに曳山まつりのときも豪華な曳山6基がこのお寺に勢ぞろいする。しかし、それ以外のときは訪れる人も少ない。立派なお寺であり、その価値をもっと知らしめることも必要ではないか。

楡原駅は、国道41号沿いにある。駅舎を入ってすぐに階段を上ってホームに行く造りが珍しい。バリアフリーの対極にあるが、山あいの小さな駅らしい雰囲気があふれている。LRT化されれば、その外観が一つの目玉になるだろう。あとは楡原の周辺で見どころ、休憩所が必要だ。

猪谷駅は高山線の県内最南端の駅である。木造の小さな駅舎とは裏腹に、構内は山々を背景に何本も線路がある。そこに身を置くと、ふと遠い昔に訪れた下北半島の駅を思い出した。もちろん、線路が多いのは営業運転を廃止した神岡鉄道の起点だったからである。

神岡鉄道は昭和41年(1966)、国鉄神岡線として開通した。高山線の支線である。神岡鉱山の産物の運搬や地域住民の足として敷設されたが、営業成績の悪化に伴い、わずか18年後の昭和59年に廃線となった。その後、第三セクターの神岡鉄道が営業を引き継いでいたが、これも限界に来て、昨年11月末に営業を休止した。今後は、観光鉄道として甦らせるのかの検討に入っている。

高山線の活性化実験でP&Rの駐車場となっている
旧婦中町役場

言えるのは、線路を外して廃線とすれば、まず二度とは元に戻らないことである。LRTがこの路線にも乗り入れることがあるのだろうか。都市の装置としてのLRTが山里にも走る。それはそれで絵になる風景ではあるのだが……。

猪谷には歴史・民俗資料館としての関所館がある。かつて越中と飛騨との国境警備、通行改め、物資の移動による課税などを行った関所の歴史を伝えている。ここで、先祖たちの生活を垣間見るタイムスリップをするのも面白いだろう。江戸時代をキーワードにしたまちづくりが一つの方策だ。

 

 

第ー回 : 文化と伝統の城端線
第ニ回 : 古代ロマンと海物語の氷見線
第三回 : 山間の情緒息づく高山線
第四回 : 地鉄と連携、大自然生かして(新黒部)
第五回 : 本物文化をつなぐ万葉線(高岡)
第六回 : 路面電車網で賑わい復活(富山)
第七回 : 並行在来線活性化へ(北陸線沿線自治体)

 

運営:未来観光戦略会議