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icon第十三回 「駅裏」変身、水と緑の空間に−カナルパーク−
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第十回 芸術の風、新たに−港町から文化発信−
第九回 海のかなたはロシア−中古車輸出の富山港−
第八回 小樽をしのぐ水路−未曾有の大工事・富岩運河−
第七回 港町の心意気−岩瀬曳山祭−
第六回 昆布王国の系譜−北海道から富山、そして沖縄へ−
第五回 港町が生んだ「芳醇」世界へ(枡田酒造)
第四回 旧制高校を寄付した婦人(馬場はる)
第三回 明治の風情に酔う(料亭・松月)
第二回 360度の絶景パノラマ(富山港展望台)
第一回 富山きたものがたり

富山きたものがたり

第一回

表は質素、中は豪壮(回船問屋・森家)
岩瀬の町は小路が多い。人家が密集して入り組んだ町並みは、幕末から明治にかけ北前船の寄港地として、多くの富を生み出した歴史を感じさせるのに十分だ。

大町通りに、かつて回船問屋だった古い屋敷がいくつもある。その中のひとつが明治11年に建てられた森家である。カラー舗装された道路から見ると、北陸街道によくある古い町屋にしか見えない。だが、中に入ると細かな細工をはじめ、贅(ぜい)のかぎりを尽くしており、ギャップに驚かされる。

まずは、広々とした三列四段という豪壮な間取り。一階は間口に沿って部屋が三列に並び、それが奥に向かってそれぞれ四つある。入り口の「オイ」は商談の場で囲炉裏が切ってあり、かつてはロシア産の琥珀が敷き詰めてあったという。天井のない吹き抜けの屋根には天窓があり、日差しが部屋の中に柔らかに降り注いでいる。

建築部材は、長年にわたって建物を支えきた梁(はり)が能登の黒松、トイレの扉は見事な木目を誇る屋久杉、庭石は佐渡や伊予などから運ばれたという具合だ。

中でも目を引くのは、奥の土蔵に通じる土間の敷石である。長さ8.1メートル、幅1.8メートルの一枚岩だ。いや、表面しか目には見えないが、この厚みがなんと50センチ以上もあるという。小豆島からいかだの下にぶら下げて運んだそうだ。浮力を少しでも利用した方法である。

越中の北前船は、下関から瀬戸内海を通って大阪へ米を運び、北海道からは鰊肥(ニシンの田んぼの肥料とした)を積んで戻ってくるのが主な仕事だった。それを中心にして、全国の港を経由して物資を輸送する一大産業だった。
大阪から見ると北から来るので「北前船」と呼ばれているが、地元では「バイ船」と言っていた。「売買のバイ」なのか「倍々に儲かるから」なのかは知らないが巨利を得ていたことだけは間違いない。行って帰ってくるたびに儲かるから「のこぎり商売」とも言われた。

森家もそうした回船問屋のひとつで、国の重要文化財に指定されている。一時期、倉敷レーヨン(現クラレ)の手に渡ったが、現在は富山市の所有だ。おかげで、歌会やサークル活動など文化的な会合を希望する人に一日3150円の使用料で開放されていると言う。
表の質素さからは想像できない豊かさは、富山の人と相通じるものがある。
ポートラムの岩瀬浜か東岩瀬で降りると町中を散策しながら行ける。入館料は大人110円、小人50円。

運営:未来観光戦略会議