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第ー回 生き残ったトロリーバス「環境考え導入」
第ニ回 生き残ったトロリーバス「雲上の電車」
第三回 日本唯一のケーブルカー「貨車付きと全線地下式」
第四回 縦横に走る鉄道網「ローカル最大級の地鉄」
第五回 黒部峡谷鉄道「秘境に分け入るトロッコ」
第六回 黒部ルート(上) 「鉄路は更なる奥山へ」
第七回 黒部ルート(下) 「世紀の大事業を訪ねる」
第八回 もう一つのトロッコ「知られざる立山へ」
第九回 幻の鉄道<上>岩瀬―滑川間の「海岸線」
第十回 幻の鉄道<下>富山−高岡−金沢間の「加越能新線」
第十一回 富山湾沿岸鉄道「夢よ、再び」
第十二回 新幹線後の未来交通「並行在来線にLRTを」

ポートラム コラム

LRTで街を変える
 −新幹線後 



標高差 456mを上昇するインクライン

蓄電池で走るバッテリーカーで約30分。到着した黒部川第四発電所の内部は、きれいなビルのように見えます。しかし、ここは地下200m。一帯が国立公園であることに対する配慮と、厳しい自然環境から設備を守るため、地下に建設されました。

発電機が4基並んだ広い部屋も見学できますが、見えているのは上の方のわずかな部分だけ。その下では黒部ダムから導かれた水流で勢いよくタービンが回っているのです。

先ほど通った仙人谷ダムから上流部が、戦後の電力再編で誕生した関西電力によって建設された区間となります。そして、黒部川第四発電所から先はトンネルの中にあるインクライン(ケーブルカー)で標高差456mを上がります。最大斜度34度。恐ろしいほどの急坂です。「スキーのジャンプ台とほぼ同じ角度」という説明がありましたが、見学者からは逆に「ジャンプ台ってこんなにも急なのか。これじゃあ真っ逆さまじゃないか」という感嘆の声が上がっていました。

距離に直すと815mで、所要時間は20分。ちなみにトンネル内部に階段がついていますが2390段あります。一方、角度もそうですが、このインクラインは巨大なのが特徴。最大積載量は25tで、発電所のタービンもこれで運んだそうです。こちらは昭和34年11月に運転を開始しています。

最後は黒部トンネル約10.2kmをバスで約40分かけ、黒部ダム駅に到着します。1車線の狭いトンネル。よくもまあ、壁にぶつからないものだと感心させられるほど、熟練したテクニックでした。同時に、秘境であるはずの北アルプスの山々を貫く長大トンネルが掘られていることにも驚かされます。

黒部川第四発電所。
地下で巨大なタービンが高速回転している

黒部ダムに至る途中、タル沢横坑という地点で断崖絶壁に立ち寄りました。ここからは剱岳が望めます。ただし、富山県の人が慣れ親しんだ姿ではなく、裏から見た剱岳です。さらに険しく、ギザギザの山容。紅葉に彩られた山々と違う、あまりの厳しさ、気高さに、ただ見入るしかないという感じでした。

さて、「クロヨン」については、あらためて紹介するまでもなく、戦後復興の中で、急速に増えたエネルギー需要を満たすために計画された未曾有のプロジェクトです。

工事は破砕帯にぶつかって難航しました。簡単に言えば、トンネルを掘っていたら、軟弱な地盤にぶつかって山が崩れてきた。掘っても崩れてきて危険だし、1秒間に500?を超える大量の地下水が噴き出る。普通ならプロジェクトそのものを断念せざるを得ない状況でした。

黒部ルートのトンネルからの眺望。
剱岳を裏側から見たところ

だが、横穴を掘ってコンクリートを注入し固めるなど、まさに日本の技術を結集して突破したのです。関西電力でもクロヨンを推進しようという運動を全社挙げて行い、鉛筆1本に至るまで大事に使って節約しました。そうしたさまざまな努力が実って、昭和38年6月に完成したのです。

多くの人は黒四ダムと言っていますが、正式には黒部ダムです。そこで貯えられた水で発電しているのが黒部川第四発電所、これらを総称して黒四(クロヨン)というのです。ダムの高さは186m。もちろん、日本一です。

工事がいかにすさまじかったかは、数字が物語っています。総工費513億円。今の価値に直すのは難しいのですが、1兆円は軽く超えていると言います。従事した作業員は延べ1千万人。殉職した人は171人に上っています。

巨大工事としては、青函トンネルや本四架橋などがありますが、それらにひけを取らないどころか、1企業が成し遂げたものとして世界に誇る事業と言っていいでしょう。

「クロヨン」殉職者の慰霊碑

ダムサイトに大きなレリーフがあります。つるはしやスコップを持って働く労働者の群像です。「尊きみはしらに捧ぐ」とあります。まさに尊い犠牲によって世紀の大事業が成し遂げられたことを忘れるわけにはいきません。

※見学会は5月から11月にかけて年34回行われ、毎回定員60人(欅平出発、黒部ダム出発の各コース30人ずつ)。応募者数が定員を超えた場合は抽選で選ばれるが、本年度分の募集は締め切られている。問い合わせは「黒部ルート見学公募委員会事務局」076−442−8263へ。

 


第ー回 : 生き残ったトロリーバス「環境考え導入」
第ニ回 : 生き残ったトロリーバス「雲上の電車」
第三回 : 日本唯一のケーブルカー「貨車付きと全線地下式」
第四回 : 縦横に走る鉄道網「ローカル最大級の地鉄」
第五回 : 黒部峡谷鉄道「秘境に分け入るトロッコ」
第六回 : 黒部ルート(上) 「鉄路は更なる奥山へ」
第七回 : 黒部ルート(下) 「世紀の大事業を訪ねる」
第八回 : もう一つのトロッコ「知られざる立山へ」
第九回 : 幻の鉄道<上>岩瀬―滑川間の「海岸線」
第十回 : 幻の鉄道<下>富山−高岡−金沢間の「加越能新線」
第十一回 : 富山湾沿岸鉄道「夢よ、再び」
第十二回 : 新幹線後の未来交通「並行在来線にLRTを」

 

運営:未来観光戦略会議